Font : ストックホルム国立美術館からメトロポリタン美術館へ

Elmosoft

Matti KlenelがFontをデザインした際、その卓越したクオリティを表現するためにレザーを選ぶことは、ごく自然なことでした。ストックホルム国立美術館での誕生から、ニューヨークのメトロポリタン美術館に選定されるに至るまで、Fontはクラフトマンシップ、機能性、そして緻密に計算されたデザインが見事な調和を保っていることを証明し続けています。Klenelは、レザーという素材がいかに家具の「造形美」と「個性」の双方を高めることができるかについて、深い洞察を語っています。

スウェーデン人デザイナーのMatti Klenelが手掛けたソファFontは、その優れたデザインに引けを取らない豊かなストーリーを宿しています。もともとはストックホルム国立美術館内のレストランのためにデザインされたこのソファですが、最近ではニューヨークのメトロポリタン美術館でも主役の座を務めています。新しく全面改装された、1100~1800年代の作品を展示するヨーロッパ美術ギャラリーに設置され、その空間を優美に彩っているのです。

 

メトロポリタン美術館への道のりは、インハウスの建築家たちが訪れる人々へ「心地よい憩いのひととき」を提供できるソファを追い求めたことから始まりました。そしてこのコラボレーションは、スウェーデンの家具メーカーであるOffecctにとって、まさに北米市場への本格的な進出を果たそうとしていた重要な転換期に重なったのです。

しかし、Fontのストーリーが始まったのは、ここストックホルムの地でした。Matti Klenelをはじめ、Carina Seth Andersson、TAF、 Stina Löfgrenといったデザイナーチームは、ストックホルム国立美術館内のレストランのインテリアデザインという大きな任務を任されていました。そのヴィジョンは、数々の名作で満たされた歴史的建造物の中に、あえて「製作のプロセス」や「不完全さ」という空気感を映し出すことでした。「空間の中に自立させることも、壁面に沿って配置することもできるソファが必要でした。」とKlenelは説明します。積み重ねられたスチールパイプの参考写真からインスピレーションを得たKlenelは、のちにFontとなるソファのスケッチを描き上げました。「シンプルすぎるのではないかと言う人もいたが、そのプロトタイプには、何か惹きつけられるものがありました。偽りのない誠実さ、ストレートな潔さがあり、それが実に見事に機能していたのです。とにかく、人々を温かく迎え入れてくれるような魅力がありました。」と彼は語ります。

時代を超える選択肢としてのレザー

開発の初期段階から、Fontにレザーを採用することはごく自然な選択でした。「レザーには、どこか象徴的な魅力があります。格別な上質さを醸し出し、時間の経過とともに美しい経年変化による味わいを増していくのです。」とKlenellは語ります。また、このソファならではのユニークな形状も、レザーの張り地と完璧に調和していました。「デザインそのものの構造が、レザーに独特のハリ感とキャラクターを与えているのです。」と彼は説明します。

 

ELMO社とのコラボレーションにより、Klenellは色彩と質感の一体感をさらに推し進めることができました。「Elmoのおかげで、非常に幅広いカラーパレットから選定することが可能になり、レザーとフレームを同色で統一した『モノクロマティック』な組み合わせを実現できました。これほど多くの選択肢を手に、自由にデザインを愉しめるのは本当にエキサイティングなことです。」と彼は付け加えます。

レザーを操るということ:その技と美学

Matti Klenellにとって、レザーは単なる一つの素材を遥かに超え、家具のアイデンティティを形づくる不可欠な要素となっています。「家具デザインにおいて、レザーは審美性と機能性を高い次元で両立させる存在であり、時の経過とともに美しさを増していく数少ない素材の一つです。」と彼は振り返ります。また、彼はレザーが持つ「二面性」について次のように述べています。「柔らかでありながらも、確かな芯の強さを備えている。この特性は、張り地において絶大な効果を発揮します。レザーが放つ独特のキャラクターは、家具のデザインそのものの方向性をも左右する力を持っているのです。」

 

また、Klenellはレザーを扱うことの難しさについても率直に認めています。「それには緻密な正確さが求められます。硬すぎず、柔らかすぎず、素材そのものが持つ自然なゆとりを活かしながら、その特性をリスペクトしなければなりません。時にレザーは、他のどんな素材を使っても決して成立しないようなデザインをも、可能にしてくれるのです。」

Fontは元々、ストックホルムの国立美術館にあるレストランのためにデザインされた家具シリーズです。
画像提供:Offecct


「レザーには、どこか象徴的な魅力があります。格別な上質さを醸し出し、時間の経過とともに美しい経年変化による味わいを増していくのです。」


Fontにおいて、レザーはそのストーリーをより豊かに深めるための極めて重要な役割を果たしています。その結果として生まれたのは、時代を超える普遍的なシンプルさと、細部まで行き届いた緻密なクラフトマンシップが融合した一脚であり、周囲を取り囲む偉大な美術やデザインと同様に、永続的な生命感を放っています。Klenellが語るように、Fontは、明快で親しみやすい佇まいでありながら、どこか観る人に問いかけるような奥深さを持っています。美術館のようなパブリックスペースからプライベートな住宅まで、どんな空間にも自然と溶け込み、心に響くクオリティです。

Matti Klenell)がOffecct社のためにソファFontをデザインしました。